定期借家Q&A

【定期借家権一般】

Q1 定期借家契約とはどのような契約ですか。
A 従来からある借家契約では、正当の事由がない限り家主からの更新拒絶はできないこととなっていましたが、定期借家契約では、契約で定めた期間の満了により、更新されることなく確定的に借家契約が終了します。
 
Q2 定期借家契約を結ぶことのできる建物は、住宅の他にもあるのですか。
A 定期借家契約を結ぶことのできる建物は、住宅だけではありません。オフィスビルの一室を借りる場合、自営のための店を借りる場合など、事業用の建物の場合も定期借家契約を結ぶことができます。
 
Q3 定期借家契約を結んでその期間が満了すれば、必ずその借家を出て行かなければらないのですか。
A 定期借家契約は、契約で定めた期間が満了すれば、確定的に契約は終了しますが、賃貸人及び賃借人双方が合意すれば、改めて再契約をし、引き続きその借家への居住を続けることができます。
 
Q4 今後、借家契約としては、定期借家契約しか結べなくなるのですか。
A 定期借家契約が結べるようになった後も、従来の正当事由による解約制限のある借家契約を結ぶことも可能であり、2種類の借家契約のどちらかを選択することができます。
 
 
 
【定期借家契約を結ぶために】
Q1 定期借家契約はどのようにして結べばよいのですか。
A 定期借家契約は、公正証書などの書面により行わなければなりません。したがって、定期借家契約を結ぶと言っても、口頭のみによる契約では、その契約は定期借家契約ではなく、従来の正当事由による解約制限のある借家契約となってしまいます。
 
Q2 契約書には、どのような内容を記載すればよいのですか。
A 定期借家契約では、最低限、期間満了時に契約の更新がないこととする旨を定めておくことが必要です。したがって、契約書にこの内容を記載していれば定期借家契約と認められますが、賃貸人及び賃借人双方にとって、よりよい契約書とするためには、建設省作成の標準契約書に沿った契約書とすることをお勧めします。
 
Q3 公正証書による契約を結ぶためには、どのようにしたらよいですか。
A 賃貸人と賃借人が、各地の公証人役場において、一定の手数料を支払い、公証人に定期借家契約の公正証書を作成してもらうことになります。
 
Q4 公正証書によらず、市販の契約書で契約してもよいのですか。
A 定期借家契約は、公正証書などの書面により締結する必要がありますが、必ず公正証書によらなければいけないわけではありません。したがって、市販の契約書で契約しても、独自に作成した契約書で契約しても有効となります。
 
Q5 定期借家契約を結ぶ際に行う説明は、どのような書面によればよいのですか。
A  書面による説明義務は、賃貸人が賃借人に対して定期借家契約であることを十分に理解してもらうために設けられたものです。したがって、具体的には、契約の更新がないこと、期間の満了により借家関係が確定的に終了すること、契約の終了年月日などを記載したものとすることが考えられます。なお、その後のトラブルとならないよう記録に残しておくことをお勧めします。
 
Q6 書面により説明したかどうかは、どのように記録に残しておいたらよいですか。
A 賃貸人は、賃借人にこの説明をした場合、その書面を交付したことと引き換えに受領証を受け取るなどして、その後のトラブルにならないよう備えておくことをお勧めします。
 
  
 
【期間の満了により賃貸借が終了する旨の通知】
Q1 期間が満了して賃貸借が終了する旨の通知はなぜ必要なのですか。
A 賃貸人に定期借家の終了についての通知を義務付けたのは、賃借人に契約終了に関する注意を喚起し、再契約のための交渉や代わりの建物を探すための期間を確保するためです。
 
Q2 賃貸人は、期間が満了して賃貸借が終了する旨の通知をいつ行ったらよいのですか。
A 賃貸人から賃借人への終了の通知は、契約期間が1年未満の場合は必要ありませんが、契約期間が1年以上の場合は期間満了の1年前から6か月前までの間に行わなければなりません。
 
Q3 通知期間経過後に通知すると、借家関係はどうなるのですか。
A 賃貸人が通知期間経過後に通知した場合、その通知の日から6か月間は、賃借人は建物を引き続き使用することが出来ますが、その後は、再契約が整わなければ、建物から退去することになります。
 
Q4 通知が遅れて期間満了後もその建物を引き続き利用する場合、その賃料はどうすればよいのですか。
A 賃貸人が通知義務を怠った場合には、賃貸人は通知の日から6か月間は賃貸借が終了したと賃借人に主張できませんから、賃借人は、従前と同様に、その期間は賃料を支払うことになります。
 
Q5 通知はどのような形式で行ったらよいのですか。
A 通知に関しては、法律上は「文書による」ことは必要とされていませんから、口頭によるものでもよいのですが、建物賃貸借の当事者間のトラブルを回避する意味から、内容証明郵便等の文書により通知することをお勧めします。
 
 
 
【賃借人の中途解約】
Q1 賃借人から中途解約の申入れをすることはできますか。
A 居住の用に供する建物でその床面積が200平方メートル未満のものについては、1か月前に申入れを行うことにより解約することが法律上保証されています。これより長い中途解約の申入れ期間を特約で設けるなど、賃借人に不利な特約を結んでも無効となります。それ以外の建物については法律の規定はありませんが、特約により中途解約について定めることは可能です。
 
Q2 どのような場合でも、賃借人は法律上の中途解約の申入れを行うことができるのですか。
A 法律上の中途解約の申入れを行うことが出来るのは、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となった場合です。
 
Q3 店舗併用住宅は、中途解約条項の適用対象となるのですか。
A 店舗併用住宅であっても、生活の本拠としているものであれば、居住の用に供されている建物であり、中途解約条項の適用対象となります。
 
 
 
【平成12年3月1日前に結ばれた契約の効力】
Q1 平成12年3月1日前に結ばれた借家契約は、今回の法律によって何か影響を受けるのですか。
A 何も影響を受けません。従来の借家契約として更新されることになります。
 
Q2 平成12年3月1日前に結ばれた借家契約で、平成12年3月1日以後に期限が到来する契約については、その時点で定期借家契約になるのですか。
A 既に結ばれている契約はその内容のまま有効ですので、定期借家契約になるようなことはありません。
 
 
 
【定期借家契約への切替】
Q1 平成12年3月1日前に結ばれた契約を、同日以後において合意の上解除して引き続き同じ建物について定期借家契約を結ぶことはできないのですか。
A 居住用の建物については当分の間、合意しても定期借家契約を結ぶことはできません。合意解除して定期借家契約を結んだとしても、その契約は従来の正当事由による解約制限のある借家契約となります。ただし、居住用以外の建物については、従来の借家契約を合意の上解除し、新たに定期借家契約を結ぶことはできます。
 
Q2 定期借家契約への切替えが認められない建物はどのような建物ですか。
A 居住の用に供する建物、すなわち事務所や店舗など業務用の建物以外のものです。なお、店舗併用住宅については、生活の本拠としているものであれば、居住の用に供する建物であり、切替えは認められません。
 
Q3 定期借家契約への切替えが認められない居住の用に供する建物の借家契約の賃貸人又は賃借人が死亡し、それぞれこれを相続した場合は、当事者が替わるので定期借家契約に切り替えることができるのですか。また、建物の売買によりその所有者が替わった場合はどうなるのですか。 
A 賃貸人又は賃借人が死亡し、賃貸人が建物を相続し、又は賃借人が借家契約を相続した場合、それぞれの地位を引き継ぐことになりますので、定期借家契約に切り替えることはできません。また、建物が売買されて所有者が替わった場合も同じように、新たな所有者が賃貸人の地位を引き継ぐことになりますので、定期借家契約に切り替えることはできません。